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2016/04/30

クロと孤独な王様13

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「なんで……お兄さんは変わらずそんなにも優しいのですか?私は貴方にあんなに酷いことをしたのにっ……!」
おばあさんの言葉に青年はキョトンとしましたが、すぐにニコリと微笑みおばあさんの頭を撫でました。
「君は優しいんだね。」
「違う、優しくなんてないわ。こんなの会おうと思えば会えたのに、逃げてただけよ。」
「君は優しいよ。だって、君は毎日こんな僕のために手紙を書いてくれてたんだろう?それに逃げてたのは僕の方さ。僕は勝手に諦めて、勝手に自分は独りなんだと思い込んでいた。」
青年の瞳にも、薄く雫が溜まっていました。
「こんな僕を優しいと思えるのはきっと君が優しい人だからだよ。ありがとう、こんな僕を優しいなんて言ってくれて。こんな僕にまた会いに来てくれてありがとう。」
そして青年もポロポロと涙を零しました。
「私の方こそ、ありがとう。助けてくれて、ありがとう。お花くれて、ありがとう。もう一度……会ってくれてありがとう!」
2人はお互いに抱き合って、片方は子供のように、片方は静かに泣きました。
クロはその様子をただ静かに見守り、その場を後にしました。


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クロの棺桶・絵本
2016/04/28

クロと孤独な王様12

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「おや、てっきり外で待っているのかと思っていました。」
庭に出ると、そこには門の外にいたはずのおばあさんの姿がありました。
「自分に言い訳して逃げる事をやめにしたのよ。王様、中にいらっしゃるかしら?」
クロが頷くと、おばあさんはありがとうと言ってゆっくり扉の方へ歩いていきました。
すると勢いよく扉が開き、そこには慌てた様子の青年が立っていました。
青年は目の前のおばあさんを見て「君、どうして…。」と呟きました。
おばあさんは何一つ変わっていない青年の姿に驚きましたが、嬉しそうに目を細めて微笑み
「ようやく、会えましたね。『お兄さん』。」と言いました。
青年は、おばあさんの姿と言葉であれからどれだけの時間が流れたのか知りました。
「ああ、そうか。僕はこんなにも長い間、閉じこもっていたのか。」
「ええ、とても長いこと待ちました。それもおばあさんになってしまうくらい。でも、旅人さんの言葉のお陰でそれが意味の無いことだと分かったんです。……ですから会いに来ました。」
おばあさんの瞳から、涙が零れました。
青年は慌てておばあさんに近付き、一輪の花を差し出しました。
その花は、あの時のようにとても美しい花でした。
ですが、あの時とは違いおばあさんの涙は止まらず更にポロポロとこぼれ落ちました。


クロの棺桶・絵本
2016/04/26

クロと孤独な王様11

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「この国の皆とは、何もかも違う。皆はこんな不気味な翼も、牙も爪もない。魔法も使えない。……僕はまるで絵本なんかに出てくる化物さ。だから、仕方の無いことだとは分かっているんだ。」
「貴方は、それで良いのですか?」
「もう慣れたさ、ずっとそうだったから。」
青年の微笑みは何もかも諦めた、とても寂しい微笑みでした。
「……そうですか。」
クロは、持っていた手紙を青年の胸に押し付けました。
「この国では、確かに貴方の様な外見は珍しいかもしれません。辛いこともあったのでしょう。……ですが、貴方の優しさをちゃんと理解している方も居るんですよ。」
それだけ言うと庭へ出ていきました。

クロの棺桶・絵本
2016/04/24

クロと孤独な王様10

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 門をくぐり抜けると、おばあさんの言っていた通り美しい花が咲き乱れていました。
クロは真っ直ぐお城の扉へ向かいました。
すると、ギィと音を立てて独りでに扉が開きました。
扉の先には、王冠とマントを羽織った青年が立っていました。
「意外とすんなり中に入れてくれましたね。」
「また燃やされたらたまったものじゃないからね。」
青年は、そう言ってクスクスと笑いました。
「火、どうやって消したんですか?」
「おや、気づいていたんじゃないのかい?」
「一応、確認ですよ。」
青年は小さく微笑み、
「魔法だよ。僕は魔法が使えるんだ、こんなふうにね。」
そう言って手のひらに一輪の花を生み出しました。
「……君は、僕を怖がらないんだね。」
「なぜ怖がらなければいけないんですか?」
クロが首を傾げれば、青年は視線を落とし
「僕はこんな見た目だろう?だから皆怖がってしまうんだ。」
と言いました。

クロの棺桶・絵本
2016/04/21

クロと孤独な王様9

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「まぁ!なんてことを!」
おばあさんは悲鳴を上げて火を消そうとしましたが、火は何故か突然消えてしまいました。
「おや、やはり消されてしまいましたか。」
クロは、残念そうに呟きました。
「でも、これで中に入れます。」
見るといつの間にか門は開いていました。
「あなたはいつから待ち人になったのでしょう?」
そう言うとクロはおばあさんの手から手紙を抜き取り、一人門をくぐりお城に入っていきました。


クロの棺桶・絵本
2016/04/19

クロと孤独な王様8

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「それから毎日手紙を書いているの。もう一度、彼に会ってお礼をして酷いことをしてしまった事を謝りたいの。」

おばあさんの話を聞いて、クロはふむと頷き訪ねました。
「なるほど。では、貴方の話が本当ならあの噂は見た目だけで広まった根も葉もない話で、ここに住んでいるのは本当は優しい王様と言うことですね。」
おばあさんは、こくりと頷きました。

「それなら、会いに行っても問題はなさそうですね。」
クロはそう言って、カバンの中を漁り始めました。
「会いに行くって扉は開かないしこの木よ?どうやって中に入るの?」
「簡単ですよ。燃やせばいいのです。」
クロはリュックからライターを取り出して、木に火を付けました。
すると木は、ぼうぼうと燃え上がっていきました。

クロの棺桶・絵本
2016/04/17

クロと孤独な王様7

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 次の日、おばあさんが目を覚ますと国中に美しい花が咲いていました。
それは、昨日青年と約束したことです。
「お兄さんは約束を守ってくれたのに。私はなんて酷いことを……!」
おばあさんは、青年に謝るためにお城に向かいました。
しかし、お城は木で囲まれて扉も開かず、中に入ることが出来なくなっていました。


クロの棺桶・絵本
2016/04/16

クロと孤独な王様6

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 そんな事を話しているうちに、あっという間におばあさんの家にたどり着きました。
皆、おばあさんの帰りを喜びましたが、後ろの青年の姿を見て悲鳴を上げました。
おばあさんはその時、初めて明るい場所で青年の姿をみました。
羽根の無い黒く大きな翼、鋭い爪に牙。
青年の姿は、まるで絵本に出てくる。
「化物。」
おばあさんの口から、ぽろりとその言葉がこぼれ落ちました。
「化物!ここから早く出ていけ!!」
皆はそう叫び、青年に石を投げつけました。
おばあさんは突然の出来事に、動くことも声を出すことも出来ませんでした。
青年は怒ることも喚くこともせず、1粒ほろりと涙を零し飛び去っていきました。

クロの棺桶・絵本
2016/04/13

クロと孤独な王様5

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「姿が見えなくなったと思ったら、森の方で泣き声が聞こえて慌てて飛び出してきちゃった。」
おばあさんは、足をくじいていてしまった事を青年に話しました。
「そうなんだ、なら僕が家まで送っていってあげよう。」
青年はそう言って少女を抱き上げると、バサりと翼を広げ空を飛びました。
空には沢山の星が輝き、おばあさんはまるで夢でも見ている気持ちでした。
「私、空を飛んだの初めて!夜って怖いものだと思っていたけど、とってもキレイなのね!」
「気に入ってもらえたなら嬉しいよ。でも、もうお城には来ちゃ行けないよ。」
「どうして?」
「危ないからさ。それにまた今日みたいなことがあるといけないしね。庭の花を見たいのなら、同じものを国中に咲かせてあげるから。」
「そんなこと出来るの?」
「出来るさ。」


未分類
2016/04/11

クロと孤独な王様4

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 おばあさんは、早く帰らなくてはと慌てて駆け出しました。
しかし、おばあさんはお城を出てすぐに転んでしまい足をくじいてしまいました。
ここは森の奥、こんな足ではとても家に帰ることは出来ません。
森は陽が落ちたせいもあり、より一層不気味で恐ろしくおばあさんは思わず泣き出してしまいました。
「君、大丈夫かい?」

突然後ろから声をかけられ、おばあさんは悲鳴を上げて振り返りました。
そこには、フードを被った青年が立っていました。
「ごめん、驚かせてしまったかな?」
青年はお詫びにと、おばあさんに一輪の花を差し出しました。
その花はお城で見たどの花よりも美しく、おばあさんはとても嬉しくなりました。
「わぁ、とっても綺麗!ありがとう!」
青年は小さく笑い、おばあさんの頭を撫でました。
その手はゴツゴツとしていましたが、とても優しい手でした。
「庭で嬉しそうに花を見ていたから、好きなのかと思って。涙、止まったみたいで良かったよ。」
青年の優しい声と手のおかげで、おばあさんが先程まで抱えていた恐怖は何処かへ吹っ飛んでいきました。
「お兄さん、どうして私がお花を見ていたことを知っているの?」
「部屋から君の姿が見えたからさ。」
「部屋?お兄さん、お城の中に住んでいるの?」
「そうだよ。僕はこれでも、この国の王様だからね。」
おばあさんはその時に初めて、青年が王様だと気が付きました。



クロの棺桶・絵本
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